
【こむら返り】寝る時・ゴルフ中に足がつる人へ おすすめ予防ケア12選#025
夜中や朝方にふくらはぎがつって目が覚める。ゴルフの終盤で急に足がつる。そんな経験はありませんか。足がつる、いわゆるこむら返りは年齢とともに起こりやすくなり、特に60歳以上で悩む方が増えます。ここでは原因のメカニズムを分かりやすく解説し、現場で使えるセルフケアを「台を使う」「立ったまま」「座ったまま(寝起き)」の3パターン、部位別に合計12個の方法でご紹介します。実践しやすい30秒のストレッチを中心に、注意点や補助的な対策までまとめました。
目次
- こむら返りとは?どこがつくのか
- 起こるメカニズム:筋肉のセンサーの誤作動
- こむら返りを引き起こす主な5つの原因
- セルフケアの考え方:場面に合わせて30秒でできる習慣
- 台を使ったセルフケア(階段や台を利用)
- 立ったままできるセルフケア(壁を使用)
- 座った状態(ベッドや椅子)でできるセルフケア
- セルフケアのポイントまとめ
- 補助的な対策:水分・ミネラル・漢方・温め
- セルフケアで改善しないときは
- よくある質問(FAQ)
- 最後に
こむら返りとは?どこがつくのか
医学的には「痙攣性筋疼痛」(こうした名称で呼ばれることもあります)が近い表現ですが、日常では「足がつる」「ふくらはぎがつる」と表現されます。よくつる部位は以下の4か所が多いです。
- ふくらはぎ(最も多い)
- 太ももの裏(ハムストリングス)
- 足裏・足の指
- すね(前脛骨部)
起こるメカニズム:筋肉のセンサーの誤作動
筋肉には状態を見張るセンサーが備わっており、代表的なものは「筋紡錘」と「腱のセンサー(ゴルジ腱器官)」です。筋紡錘は筋肉が伸ばされすぎたときに「縮めよ」と信号を出して筋肉を守ります。一方で腱に近いセンサーは筋肉が縮みすぎているときに「伸ばせ」と指示を送ります。
こむら返りはこれらのセンサーの働きが乱れる、あるいは情報伝達がスムーズでなくなることで、筋肉が勝手に収縮してしまう現象です。つまり筋肉が暴走した状態。センサーや神経、脊髄に届く信号伝達がうまくいかないと発生しやすくなります。
こむら返りを引き起こす主な5つの原因
代表的な理由は以下の五つです。これらを知っておくことで予防対策が立てやすくなります。
- 筋肉量の低下
20代をピークに加齢で筋量は減少します。特にふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、血液を心臓に戻すポンプとして重要。筋量が減ると循環やポンプ機能が落ち、足がつりやすくなります。 - 筋疲労
筋力が落ちると同じ動作で疲労が溜まりやすくなり、疲労回復にも時間がかかるためつりやすくなります。 - 血流不足
心臓から遠い足先は血流が滞ると酸素や栄養が届かず筋機能が低下します。リンパ流も悪くなり疲労物質が貯留しやすくなります。 - 冷え・脱水
水分不足や冷えで血液循環が悪くなると、筋肉内の酸素・ビタミン・ミネラルが不足しやすくなります。寝ている間でも約500mlの水分を失うと言われています。 - 電解質不足(イオンバランスの乱れ)
汗でナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが失われると筋肉と神経の情報伝達がスムーズに行われなくなります。
また糖尿病や腎機能障害、腰椎や末梢血管の問題、薬の副作用なども影響するため、セルフケアで改善しない場合は医療機関の相談をおすすめします。
セルフケアの考え方:場面に合わせて30秒でできる習慣
ここからは実践編。場所別に「台を使う」「立ったまま(壁)」「座ったまま(ベッド)」の3つのシチュエーションで、ふくらはぎ・太もも裏・足裏・すねの4部位の合計12個の簡単ストレッチを紹介します。どれも30秒前後を目安にじわーっとゆっくり伸ばすのがポイントです。急に強く伸ばすと逆に筋紡錘が反応して余計に縮もうとしてしまいます。
台を使ったセルフケア(階段や台を利用)
1. ふくらはぎ(台利用)
台の端に足の前半分(親指の付け根あたり)を乗せ、体重をゆっくりかけていきます。前後左右で体重のかけ方を変えると内側や外側の伸びを調整できます。30秒程度、かかとを浮かさないように注意してじわっと伸ばします。
2. ハムストリングス(太もも裏)
台に足を乗せ、膝を軽く曲げた状態から上体を近づけていきます。完全に伸ばすと痛ければ少し曲げた状態でもOK。自分が突っ張る位置に合わせて上体の角度を変えながら30秒ほど行います。
3. 足裏・足指(台利用)
台の前に足先をかけ、しゃがむようにしてお尻をかかと方向へ落として足裏を伸ばします。足の指先も同時に伸びるように調整して30秒。
4. すね(前脛骨部)
台に足の甲を載せ、体を前に倒すか膝を縦にして圧をかけるようにしてすねを伸ばします。太もも前側も同時に軽く伸びます。こちらも30秒を目安に。
立ったままできるセルフケア(壁を使用)
5. ふくらはぎ(壁で)
壁に手をつき、伸ばしたい側の足を後ろに引いてかかとを床につけたまま体重を前に移動。かかとを浮かさないことがポイントです。強く押し込みすぎずじんわり30秒。
6. ハムストリングス(壁で)
伸ばしたい足を前に置き、後ろ脚を下げて腰を落としながら太もも裏を伸ばします。胸を張ってお腹を出すイメージで、腰が抜けないように注意しながら30秒。
7. 足裏・足指(壁で)
壁に手をつき、足の指を使って押すようにして足裏を伸ばします。上体を少し壁に寄せることで効果が高まります。30秒ほどじわっと。
8. すね(壁で)
足の甲を床につけるような姿勢、もしくは正座に近い形で前傾してすねを伸ばします。胸を前に出すイメージで30秒行いましょう。
座った状態(ベッドや椅子)でできるセルフケア
9. ふくらはぎ(座位で)
壁に向かって座り、足の裏を押し当てるようにして体を近づけます。指先を持って引くか、壁に押しつけて30秒。寝ているときに目が覚めてしまった場合でも行いやすい方法です。
10. ハムストリングス(座位で)
足を上げて太もも裏を手で押すように固定し、上体を近づけるか太もも裏を押しつける形で30秒。立って行うよりも筋がリラックスした状態で伸ばしやすいです。
11. 足裏・足指(座位で)
足の指を手でつかんで引っ張るか、体を押すようにして足裏を伸ばします。ふくらはぎも同時に伸びるので目が覚めた時の緊急対応として有効です。30秒目安。
12. すね(座位で)
正座のように足の甲を床につける、もしくは縦に膝を立てるポジションで体重をかけてすねを伸ばします。最も安全な範囲で30秒ほど行ってください。
セルフケアのポイントまとめ
- どのストレッチも「じわーっと」ゆっくり30秒を意識すること。急激に伸ばすと逆効果です。
- かかとを浮かさない、腰が抜けない、胸を張るなど基本姿勢に注意することで効果が上がります。
- 発生直後の対処としては、伸ばす方向に体を優しく動かして緊張を解くのが有効です。
補助的な対策:水分・ミネラル・漢方・温め
ストレッチに加え、日常でできる補助策も重要です。
- こまめな水分補給(寝る前の過度な水分制限は避ける)
- 塩分やミネラル(特にマグネシウム)を補えるタブレットやスポーツドリンクの活用
- つむら68番の漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は夜間のこむら返りに効くことが知られています。服用については医師や薬剤師に相談してください
- 冷えはつりを誘発するので入浴などでしっかり温める
セルフケアで改善しないときは
繰り返すこむら返りや治りにくい症状は、糖尿病や脊椎の病気、末梢血管障害、腎臓や肝臓の問題などが影響していることもあります。改善が見られない場合は主治医に相談しましょう。また、薬の副作用で起こることもありますので、服薬中の方は医師に相談してください。
よくある質問(FAQ)
寝ている間に足がつるのはなぜですか
睡眠中は体温が低下し筋肉が固まりやすくなります。また寝ている間に500ml程度の水分が失われるため脱水や電解質不足が起きやすく、神経と筋肉の情報伝達が乱れてこむら返りが起きやすくなります。
こむら返りが起きた瞬間の対処法は何が良いですか
まずは慌てずに、つった筋肉をゆっくり反対方向に伸ばすことが基本です。ふくらはぎならつま先を自分の方に引いて伸ばす。その後、30秒ほどゆっくりストレッチを行い、必要なら水分やミネラルを補給してください。
予防に効果的なサプリや漢方はありますか
マグネシウムなどのミネラル補給は有効です。漢方では芍薬甘草湯(つむら68番)が夜間のこむら返りに効果が報告されています。ただし持病や服薬がある場合は医師と相談のうえで使用してください。
ストレッチは毎日やるべきですか
はい。特に運動不足や加齢で筋力が落ちている方は、日常的に短時間のストレッチを継続することで予防効果が期待できます。無理のない範囲で毎日続けるのが大切です。
こむら返りが続く場合、受診する目安は?
セルフケアや生活改善をしても改善しない場合、頻度が高い場合、強い痛みやしびれが伴う場合は医療機関を受診してください。糖尿病や神経障害、血管障害などの精査が必要なことがあります。
最後に
こむら返りは誰にでも起こり得る身近な症状ですが、原因を理解し場面に合わせたセルフケアを身につければかなり予防できます。今回紹介した12の方法は、ゴルフ場や職場、寝起きの場面などどこでも使える実践的な内容です。まずは無理のない範囲で毎日の習慣に取り入れてみてください。
もし詳しい相談や個別の治療を希望される方は、専門機関に相談してください。お大事にしてください。